偏差値、成績によるクラス替えは子どもに良い? 悪い?
中学受験で大手塾に通塾していると、毎月のようにテストがありますが、その度に、偏差値が上がったか下がったか、親としてはとても気になるものです。毎回ハラハラしてしまうものですよね。
気にするべきは前回のテストより改善されたかどうか。本人の成績推移に他ならないはずですが、いろいろと周囲の噂も聞こえてきたり、クラスの昇降があったりで、我が子の立ち位置、周囲のお友だちと比べて上か下かということも、ついつい気になってしまいます。
塾によっては、模試の成績を貼りだしたり、席順=成績順のところもあります。そういった塾では、塾の先生方は「子どものやる気に火をつけます」、「子どもは励みにしています」と、成績開示について肯定的ですが…。
長男のときは当事者として、次男のときは第三者として中学受験を見てきたurashimamamaとしては、やはり子どもの心に良い影響を与えてはいないかなあ…と思います。
偏差値への意識が子どもの心にも波風を立てる
中学受験で継続的に高偏差値を取るのは、どの子にとっても大変なことです。頑張って取り組めば取り組むほど、子どもながらに偏差値を常に気にして生活することになります。
しかし、その頑張りが成果として偏差値に反映されるには、少し時間がかかるもの。即効性があるものでもありません。『中学受験 偏差値とつきあい方』でも書きましたが、子どもは偏差値の意味を実感して分かっていないため、「何をどうやったらいいのか全っ然分からないよ(>_<)」と戸惑い、そしてそんな思い自体をどう発信していいのか分からない、モヤモヤしたまま大人の言うことを聞いて課題をこなし頑張っている。なのに思うように点数が取れず、冷徹にクラスを落とされたり、席順をシャッフルされたりして翻弄させらる…といった状態なのだと思います。
なかなか偏差値の上がらない子は毎回とても傷ついていることでしょう。『燃え尽き症候群』になってしまいそうな気分かも。偏差値が良い子にとっては喜ばしいものだとは思いますが、真の意味が分かっていない分、ただただ根拠の無い優越感を植え付けているだけかもしれないなあ…とも思います。
元SAPIX・日能研・四谷大塚の中学受験専門プロ講師が運営。
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偏差値への意識が生み出すトラブル
長男、次男の小学校時代の生活、お友だち関係を通して、以下のような数々のトラブルを見たり聞いたりしました。
- テストが返却されると必ず周りの子のテストを覗き見して自分より点数の低い子を探す子がいる。点数が低い子を見つけては侮辱する。
- 上のクラスの子が、下のクラスの子をバカにする話を数々聞きました。ちょっとした会話でも、「お前頭悪いから…」みたいな態度で差別的にあしらったり。それを学校でもそのままやっていじめに発展することもありました。
- 塾の上位クラスの子たちが、勘違いした優等生意識から学校の担任に反抗的態度を取る。その結果、学級崩壊するケースも度々見られます。
- 偏差値は6年生になると志望校への詮索にもつながります。「どうせ受けるの、○○校あたりじゃね?」、「あの偏差値で受けるの?」などと、周りの子の順列付けする会話が飛び交っていました。
urashimamama長男は大丈夫だった?
サピックスでは点数開示は一切無いので、成績を比べていじめなどのトラブルは特にはありませんでした。そんなこと言っている余裕がないくらいハードな勉強量でもありましたから…。それが口封じになっていたというのも踏んだり蹴ったりのような気もしますが(^_^;)
またサピックスのクラスの昇降は、毎度テストの度、点数で明確にバッサリ区切られます。そのせいか、各クラスのシャッフルが激しい。そういう状況もあって誰が落ちた、上がったと気にしている暇はないようです。
他の大手塾では、毎回のテストと授業の様子など、クラスの昇降に生徒側には見えない要素も入るようなので、いろいろ複雑な思いも加わるようです。
ただ、urashimamama長男に当時のクラス昇降について聞いたところ、やはりクラスを落ちれば深く傷ついたみたいです。「やっぱりアレ、すごい凹んだよ。嫌だったよ」と言っていました。
たとえ仲良しで絆の堅い友だちでも自分よりクラスが上だと劣等感は感じてしまうものだと思います。
あと、塾なし受験のときに、いくつかの塾の模試を定期的に受けに行っていましたが、成績開示される塾のお友だちには、学校で「偏差値いくつだった?」と執拗に聞かれて面倒くさかったと言っていました。サピックスに通塾歴がある長男には平気で点数を聞きあう、その距離感が理解できなかったみたいです。
親の影響も結構大きい
これらのトラブル、親の影響も大きいと実感します。3人子育てをしていると「子は親の鑑」とはよく言ったものだなあ~と恐ろしくなることがよくあります。
ママ同士のつきあいで、なんとなーく会話の端々に「好戦的?」、「自慢げ?」、「なんだか張り合ってくる?」「ボスキャラ?」みたいに、いやーな気配を感じるママの子は、大抵トラブルメーカーでした(>_<)
しかも、そういうタイプはわりと優等生。「根性最高悪いけど、上位クラスで癪に障る(怒)」的な存在です。
きっと、家庭での会話、価値観が偏差値高=勝者=エライなのだろうなあと思います。
また、親がボスキャラ、好戦的キャラでなくても、自信がなく神経質に言ってしまう場合も、ナーバスさが子どもに伝播して周りのランクを詮索してトラブルになる傾向がありました。
受験は、親自身もいっぱいいっぱいになるものですが、子どもの前では頑張ってのん気を装っていた方がいいかもしれませんねえ。親のメンタルレベルも問われるものだなあ~とつくづく思います。