筑駒、慶應、ご縁はどっち? 長男のゲン担ぎ

横浜翆嵐高校の入学辞退手続きを終了し、慶應義塾高校への進学を決めた長男。

何日かが経って我が家も落ち着きを取り戻してきた頃、長男が神妙な面持ちで「よくよく考えると、実は僕、筑駒じゃなくて慶應にご縁があったんだろうなあと、つくづく思うよ」とurashimamamaに言ってきました。

なるほど、“ご縁”ときましたか! なんだか大人びた言い方するようになったもんだ。急に大人になったみたい。大人を通り越してお年寄りっぽい気がしないでもないけど。まあ、いいや。

そこでurashimamamaは、長男にどういうところに“ご縁”を感じたのか聞いてみました。長男は、「実はあの日…」と、ご縁を感じた日の出来事を、しみじみと思い出しながら語り出しました。

長男がご縁を感じたエピソード

ご縁を感じた“あの日”とは、2月15日のこと…。

2月15日は、塾高の2次試験(面接)の日であり筑駒の合格発表でもありました。塾高2次試験の集合時間と筑駒合格発表の時間は、ほぼ重なっていたため、長男は塾高の面接に向かい、筑駒合格発表は両親が見に行くことに。長男の憧れであり第一志望である筑駒の合否結果の確認は、親に委ねる形になりました。

2月15日当日、長男は余計なことは言わず、これまで通り淡々と落ち着いた様子で家を出たのをurashimamamaは記憶しています。長男は一見平静ではありましたが…でも実はそんなこと全然なかった! そりゃ当然そうですよね。塾高面接への緊張と、「筑駒、受かってるかな?ダメだったかな?」という不安で、頭の中はいっぱいいっぱいだった模様です。

「筑駒、合格? 不合格?」
「いやいや! それより面接に集中!」
頭の中で堂々巡りを繰り返しながら、駅のホームで電車を待っていると…なんとまあ!長男の大、大、大好きなキャラクターのラッピング電車が入ってきたそうです。こんな大切な日に、大好きな電車に乗れるなんて!!

「おおーーーっ! やたっっ! すごいぞっ! これ、きっと筑駒受かってるぞぉぉぉーーっ!!!! 」
長男、ラッピング電車に勇気づけられ一気に気分が晴れやかになったそうです。そして、おかげさまで塾高面接は緊張せずに受けることができました。

塾高の面接が終わり、帰路につきました。

駅のホームで電車を待っていると…な、な、な、なんと、なんと!! 奇しくも、またまた、長男の大、大、大っ好きなラッピング電車が再びホームに…!!!!
「えええーーーーっ!? いいんですかぁ!? また乗れるの!? 乗っていいのぉっ!? 今日の僕、ホント強運だぁぁっ! これは絶対、いい知らせだぁっ!! 」
こんな滅多にない偶然に鳥肌が立つほど感動した長男でした。…ただ、同時にチラと
「あれ? これって、運が向いてるの、筑駒じゃなくて慶應じゃね? 今日試験があるの、慶應だし…」
とも思ったそうですが…。

そして、蓋を開けたら、慶應に合格。筑駒は合格ではなかった。
「だからあの時、電車に乗れたのは、やっぱりそういうことだったんだと思うんだ。僕は筑駒より慶應にご縁があったんだなあと、つくづく思うよ」
長男は真顔でurashimamamaに話してくれました。

「なるほどねえ~。そうなんだ。ご縁ねえ」
と、urashimamamは長男に合わせて相槌を打ち、真顔で共感していましたが、実は、プププ…と笑いをこらえるので精いっぱい。だってかしこまって、大人っぽい口ぶりで話してくれたけど、結局は「電車♪」なんだもん(笑)。

大人になったようでも小さい頃と変わらない!?(笑)

この神妙な面持ちで語る長男に、幼稚園の頃のエピソードも重ねて思い出してしまいました。

年中のとき、大好きな男の先生が担任のクラスになれて長男は大喜びしていたのですが、ある日、長男がめずらしくかしこまった様子で「ママ、僕は本当に○○先生が大好きだ」としみじみ語ってくれたことがありました。

「へえ、そうなんだ。どんなところが好きなの?」とurashimamamaがたずねると、「○○先生は、僕の知らない新しいことを教えてくれるから」と妙に大人っぽい口ぶりで答えてくれました。

年中になったら急にお兄さんになって…!(;_;)と、長男の成長ぶりに感動したurashimamama。息子との知的な会話を期待してワクワクしながら「たとえばどんなことを教えてくれるの?」と聞きました。そしたら、長男は真顔で答えてくれました。
「タオルかぶって、『お化け』って言うの」と…。

…結局、あの頃と全然変わらないんじゃんーーーっ!(笑)

パパが帰宅すると、即行で長男に気付かれないところで、このことをコソコソッと報告しました。するとパパも、「小さい頃から『でんちゃ、でんちゃーっっ(電車)!』って、電車見ると大騒ぎだったもんね。大好きだったもんねえ~」と大ウケ。

受験を通して随分大人になったと思いました。でも、やっぱりまだまだ子供なんですね。urashimamamaの身長をすっかり越えた長男です。でも電車が大好きだった頃、小さくて可愛かったあの頃から10年経っているかどうか。もう体も大きいし、urashimamamaは、長男には以前よりも距離を置いて男子として扱うようにしていました。長男もお兄ちゃんとして弱音を吐かない性格ですが、でもまだ守ってもらいたい部分もたくさんあるでしょう。

それと長男、普段は占いも興味なし、お化けも別に信じない、怖いものなしのタイプです。その長男がゲン担ぎをしていたのもurashimamamaには意外でした。本来は現実主義的な長男も、つい占いしちゃいしたくなるような心境になるのが受験というものなんですね…。

まだまだ子供だけど、けなげに頑張って闘い抜いたんだね…。

長男の、だまだバブちゃんなところに大ウケしたのと同時に、思春期の子どもの思いを感じて、ちょっと切なくもなったurashimamamaでした。そして「ご縁があったんだ~」と、筑駒不合格の悔しさを乗り越えて、慶應進学を受け入れられている長男の様子に、安心もしました。