学校生活になじめるかが肝心
進学先を決めるのに、学費や大学受験を念頭に進学先を考えることも大切ですが、それ以上に考えなくてはならないことは、学校生活です。
進学先を決めるということは、これからの3年間を、どこでどう過ごすかを決めることでもあります。高校の3年間は人生で一番と言ってもいいくらい大切な時期。将来の進路を具体的に考え始めたり、一生のお友だちができるのもこの時期です。長男の性格、考え方に合っているのはどちらの学校か、充実した3年間を送ることには、長男にとってどちらがいいかを考えることが、進学先を決める上で最重要のキーポイントです。
慶應義塾高校に入ったら、どうなる?
慶應義塾高校は、幼稚舎、中等部、普通部と附属校があります。下から持ち上がってくる生徒たちと上手くやっていけるか、高入生は肩身の狭い思いをするのではないか? と気になります。
パパは自身の大学時代の記憶から塾高出身者は“派手”、“お坊ちゃん”、“お金持ち”というイメージが強い。公立出身で素朴に育った長男は、附属からの子たちに“当てられてしまう”のではないかと心配しています。
もちろん慶應ですから、裕福な家庭の子女は他の学校より多いと思います。しかし、塾高は1学年約700人。しかもその半分が高入生、約350人と、新参者が半分を占めます。少数派ではありません。また高入生の多くは公立出身。長男と同じくこれまで勉強中心の素朴な中学生活を送ってきたことでしょう。遊び歩いていたら慶應なんか受からないでしょうしね。附属出身の“お坊ちゃん”に“当てられる”ことも実際にあるにはあるでしょうが、長男が孤立することはなさそうです。700人もいるのですから、どこかしら居場所を見つけられるのではと思います。
横浜翠嵐高校に入ったら、どうなる?
横浜翠嵐高校は公立高校。高校のみなので、全員はじめましてのスタートです。公立だけあって学校の雰囲気も質実剛健なイメージ。生活の場として、学校そのものの雰囲気は中学の延長線といった感じで、カルチャーショックを受けることはなさそうです。
学校の先生方も以前、学校説明会に行った時の印象では、キリッとして知的なイメージ。そして若い先生方は熱心でありながらフランクで相談しやすい雰囲気。好印象でした。素朴で質実剛健、自由な校風、そして勉強熱心。私の中では公立学校の良い部分を切り取ってまとめたのが横浜翆嵐高校のイメージになっています。公立高校もトップ校となると、中途半端な私立の中高一貫校よりもハイレベルなのだろう、先生方も選りすぐりなのだろう感心した覚えがあります。
このように、横浜翠高校は申し分のない高校。ただ気になることは、長男は公立にあまり良いイメージを抱いていないかもしれない、ということです。
長男は中学受験を経験したせいか、周りの子供より少し大人びていたようで中学の3年間は公立中学の雰囲気に今一つ馴染めていないようでした。孤立しているとか、意地悪されているということは特にありませんでしたが、お友だちに物足りないものをを感じていたという点で馴染めていなかった。確かに、公立は中学3年になってもプロレス技を仕掛けるのが相変わらず“仲良し遊び”と思って疑わない男子がまだまだいますからね。そしてそういった男子が公立中では主流だったりもするので。長男が心を開けるお友だちはほんの一部でした。
生徒会や学級委員の活動を熱心に行っていたのは、そういった子供っぽい男子達とは一線を画したかったからだそうです。自分の居場所を求めたためでもありました。おかげで、孤立することはなく学級委員、生徒会の友達とは仲良くしていましたが、やはり仲良しのお友だちでも会話の内容に少し物足りなさを感じていたみたいです。ですから長男は“公立”のイメージはあまり良くないと思う。
高校は選抜された生徒が入学するので、横浜翠嵐高校ともなれば、これまで長男が思っていた“面倒くさい”タイプはほぼいなくなるとは思いますが、長男は“公立”というものをどう捉えているか。そして実際に会話が楽しくて仕方がないというレベルの気が合うお友だちができるかどうか? いるにはいるだろうけれど、その確率はどのくらいだろうか? 少々不安なところです。
また、サピックスの先生がよく言っていた、「横浜翠嵐といっても“学校の優等生”がほとんどです」という言葉も気になりました。サピックスの先生曰く、公立高校の入試内容は、思考力を問うレベルの問題はほとんどないため、実は翠嵐に合格しても大学受験に通用しないタイプも多い。学校行事や部活を盛んに行う中で、受験対策をろくにせず学校生活に満足してしまって完結。学校の成績は取れるが、大学受験で成果を出せないという生徒が多数派だいうのです。
そうすると、横浜翠嵐に入っても長男にとっては会話がかみ合わないかもしれない。少し物足りないお友だちづきあいしかできないかもしれない。また孤独な気分を味わうかもしれない。
それに、実は人のことを言える立場ではなく、スペックは高いがコツコツ自主的に学習するのが苦手な長男、学校行事に夢中になり勉強そっちのけでエンジョイしまくる長男、うちの長男こそ“学校の優等生”になってしまう可能性大だよ!!
さて、長男はどちらを取るのだろう?? 母は母で反芻しながら、長男の出す結論を待っていました。