中学受験で不合格4 2月4日はどうする?長男の決断

2月4日は作戦変更?

2月4日の朝、朝早くに起きてきたパパからの提案は、今日はサレジオ学院ではなくK中学を受験しないかということでした。

確かに長男の、あのボロボロ、ヨレヨレ状態ではサレジオ学院はムリでしょう。あんな状態では受かるものも受からないよ。

負けが明らかな闘いに挑むより、ハードルが少し低めのK中学を受験して合格を最優先に考るのが得策だろうというのがパパの考え。urashimamamaもこの考えに迷いなく同意。ここは攻めではなく守りに入ろうと思う。それが大人の考えというものです。

あとは長男がどう考えるか。

入試にはパパだけが付き添っていました。長男の下には弟、妹がいるのでurashimamamaは二人を幼稚園と学校に送り出さねばならないので。

ということは今日どこを受験するか、3人で話し合えるのは家を出るまでの1-2時間しかありません。短い時間で十分に話し合えるだろうか? もしかしたら、そんな話を切り出したら、長男かえって動揺してしまうかもしれません。この提案、長男に吉と出るか否か…???

起きてきた長男の様子は?

長男、その日の朝はurashimamamaが声を掛けなくても時間にきちんと起きてきました。受験のリズムがすっかり出来上がっているようでした。

前々からスゴイなあと思っていたことですが、長男はこれまで幼稚園も、学校も一度も「行きたくない」と言ったことがありません。塾でも。サピックスが辛かったあの時期でさえ。

これが必ずしも正しいかというと、そうではないと思います(現に今、高校生の長男はこれについて自問自答中、urashimamamaも度々声かけしながら修正中です)。でも、男の子で長男だからかな? いつのまにかそんな我慢や忍耐力が強固に身についてしまっているようです。こちらはそこまで厳しくした覚えは全っ然ないんですけどね。

そして、こんな日でさえも長男はきちんと予定通りに起きてきました。

「おはよう」
リビングに入ってきた長男は昨日とは打って変わって冷静な様子でした。目だけは、夜ずっと泣いていたと分かるくらい真っ赤でしたが。でもそれ以外はいつも通りでした。

「おはよう。大丈夫? 体調はどう?」
urashimamamaが話しかけると、
「うん、大丈夫」
と平然としています。

「今日受けに行けるかな? 大丈夫?」
とurashimamamaが問いかけると、一瞬きょとんとして
「え? なんで? 大丈夫だよ」
と答えが返ってきました。行くか、行かないかなんて、そんな選択肢があるとはつゆとも思ってなかった様子です。

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長男にどう切り出す?

やめるなんてあり得ない。何事にもストレートに向き合う子どもの素直さってスゴイですよね。そしてせつないくらい健気。こうまっすぐだから子どもってある意味強いんでしょう。でもだからといって、その“強さ”に乗っかって突き進んでしまうのもどうかと思います。

長男、心の中ではいろいろあるでしょうけど、とりあえず今朝落ち着いてサレジオ入試に向かうつもりでいます。それに乗じて、長男の冷静なフリをまんま受けとめてサレジオ入試に向かうべきか?その方が長男の気持ちを乱さないで済む…??

…でもでも、今の状況では、やっぱりK中学の方が妥当です。

ただ、少なくとも見かけだけは平常心を取り戻している長男に、今このタイミングでK中学受験の選択肢を持ち出したら、途端に崩れてしまうかもしれません。

どう切り出そう…??

urashimamamaが迷っていると、パパが「提案があるんだ」と、K中学への作戦変更の案を切り出しました。

パパの提案に長男は?

パパは努めて明るく、優しく丁寧な口調で長男に説明していました。

「結局は、パパもママもJが哀しがるのを、なるべく見たくないんだよ。Jが合格もらえてホッとした笑顔を見たいからね…」
パパ、長男を抱きしめてこう言いました。さすがのパパもこのときは少し目をうるませていたなあ。

昨晩のパパ、家族で食事をしながら「こんなことあるある!」「チャレンジだったんだからいいんだよ! 」と、カラッと明るく話していてノーダメージのようでしたが…昨日のあれは精一杯の空元気だったのね。

長男、静かにパパの話を聞いていました。パパの提案に少し驚いていた様子で、そして「うーん…」と言いながら、押し黙っていました。

「じゃあ朝食を食べながらどっちに行くかよく考えてみて」
パパはそう言い、答えは朝食後まで持ち越すことにしました。

出かけるまでの間、長男は終始無言。

元々マイペースな性格なので、普段から感情をあらわにすることはそうありませんが、淡々と朝食を食べて、淡々と準備をしています。

長男、この提案で気持ちが乱された様子はなさそうです。迷って困惑している様子も見られません。ならパパとママの提案に同意でしょう。そう思っているよね、きっと。だってすごーいアイデアだもん! 願ってもない助け舟だもん。

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長男の出した答えは…?

さて、そろそろ出発の時間です。

パパが確認しました。
「最終的に、今日はどっちにする?」

すると長男は静かに、でもきっぱりと答えました
「僕は、サレジオを受けに行きます」

「えっ!?」
パパもurashimamamaも、意外な答えにちょっとビックリ。

だって昨日あんなに泣いてたんだよ。もう入試なんてまっぴらって、人生終わっちゃったくらいに泣いて、泣いて、泣いて…泣きじゃくってたんだよ!

どうせ受けに行くなら可能性のある方にした方がいいよ! K中学の方が少しは有利よ…! 意地張ってる場合じゃないんだよ!?!?

urashimamama、混乱して言葉が出ませんでしたが、長男は静かにパパとurashimamamaをまっすぐに見つめてこう続けました。
「サレジオ学院は今の僕には難しいかもしれないけど…でもね、僕やっぱりサレジオ学院に行く。どうせ受けに行くなら、僕は受かる学校じゃなくて、行きたい学校に行こうと思います。後悔はしたくないから」

長男、真っ赤な目でしたが、でも凛として澄んだまなざしで話してくれました。綺麗な目でした。urashimamama、あの綺麗な目を今でも忘れられません…。

「…そう、分かった」
パパは少し心配そうでしたが、長男に同意。サレジオ学院に向かうことにしました。

urashimamamaは心配で心配で、その後も支度をしながら「本当に?」「大丈夫?」と何度も、何度も聞きましたが…長男の気持ちは一切揺るがず。こういうときって、大人の方が情けないですね。

「頑張って。行ってらっしゃい」
urashimamamaは玄関でパパと長男を見送りました。長男の目は、昨日とは全く違う静かな目でした。

urashimamamaは、精一杯の思いを込めて長男をギューッと抱きしめました。昨日の麻布では長男は意地を張ってギューを拒絶していましたが、今回は素直にurashimamamaを受け入れてくれました。

…いや…? あのギューはurashimamamaが長男にしてあげたのではなくて、実はその逆だったか…?心配して動揺しまくるurashimamamaを、長男がなだめてギューしてくれた気がする…。

パパは、「ギリギリまで説得してみるから…!」と、K中学の願書も荷物に忍ばせて出かけました。パパ、余計なことは言いませんでしたが、やっぱりすごく心配だったみたい。

しかし家を出てからは、長男の足取りは迷うことなくサレジオ学院へ。パパが説得する余地など全くなかったそうです。

長男、まだまだ幼くて小さい、か弱い存在だと思っていましたが…でもやっぱり“男子”だった。きちんと自分を持ってて、urashimamamaが思っていたよりずっと、ずっと大人だったんだと分かりました。