夏休みは、“受験の天王山”!?

受験の世界で、よく「夏休みが天王山」と言われます。夏期講習前の保護者会で塾の先生は必ずといっていいほどこの言葉を使います。夏休みをどう過ごすかが、受験に成功するかどうかのカギということで。6年生、中3生の受験生にとっては、夏休みが一大事です。

“天王山”は本人よりも親がプレッシャー

親としては「夏休みが勝敗のカギ」なんて言われると、特に6年生のママは「私が頑張らないと!」と自分にプレッシャーがかかってしまいます。小学生の子どもが自分自信で緊張感を持って頑張るなんて、そうそうできるものではありませんから。本人が頑張る気マンマンだとしても、自分自身でバッチリ学習プランを立てるなんて、できるはずもなく。よって“天王山”の責任はそのまま母へ。「母の管理能力が合否を左右する! 」と背負ってしまいます。

小学生は、自覚して取り組む?

小学生の子どもは、周りの大人から「夏休み頑張れ! 」とは言われているので、頑張ることは頑張ると思います。というか、塾のスケジュール自体ガチで埋まってますし。

でも、だからといって「勝敗を左右する」という意識で夏期講習に取り組む子は、現実的には、なかなかいないでしょう。“受験”を漠然とした不安を持って捉えてはいますが、だからといってどう取り組みべきか結びついてはいないので。

大人と子どもとでは時間の意識が全然違うんだろうなあとも思いますが、子どもにとっては夏の時点で来年の2月の話なんて、遠い遠い未来の話で想像にも及ばないので。そんな緊張感持てるはずもないです。

中学生は、真剣に取り組む?

中学3年生のほとんどは夏休みで部活を引退し、ここからが本格的な受験勉強のスタート。これまで部活で忙しかった子もやっと受験勉強に専念できるようになります。

だからといって思春期。大人の言うことを素直に「そうですか、じゃあ頑張ります」と聞くわけもありません。親から見ると緊張感が足りない! と思うことも多い。でもそこでパパ、ママが叱ると心をシャットアウトしてしまい逆効果です。思春期、難しいです。

そして、“夏休み”ですから。やっぱり楽しみたい! 塾の目的が勉強することよりも、友だちと会うことがメインな子も多いです。地元の塾の子たちは、塾の帰りにコンビニでおやつを買ってしばらくしゃべって帰るのが日課になっているようでした。

やはり、中学生にとっても夏の時点で受験は遠い先のこと。未来の話なのでしょう。まだまだ具体的にイメージできるものではありません。

“天王山”の夏休み、でも焦らずに…

長男のケースではありますが、“受験”を具体的にイメージして取り組むようになった、いわゆる“スイッチ”が入ったのは、中学受験では1月を過ぎてから、高校受験でも冬休みからでした。長男の場合、特に中学受験では遅すぎでしたが(>_<)、要するに子どもが夏にスイッチが入るとは、あまり期待できません。

子どもは大人と違って、まだまだ毎日が初体験。日々全力で生きています。夏にそこまでスイッチ入ったら、受験本番まで精神が持たないとも思います。

小中学生の成長を一通り見たurashimamamaの感想としても、6年生は夏休み以降の半年で心身ともに別人のように成長します。中学生も秋以降に精神的にみちがえるように成長します。夏の時点で案じてもしょうがないかなあとも思います。夏に親が神経質に言っても、ただただ親との揉め事を増やすだけかもしれません。

“天王山”の夏休みは苦手分野の克服に集中すべし

だからといって、夏休みは遊んでいいわけではありません。学校もなく、まとまった時間の取れる最後のチャンスですから。「合否を分ける! 」と気負う必要はありませんが、これまでの学習内容の振り返りについては真剣に行うべき。そこについては親は厳しくアドバイスするべきだと思います。

ここで基礎を一通り固められていれば、後は本人の自覚が出るに従い、精度を高め、スピードアップをはかり、難易度を上げていけばいいので。

偏差値アップもそう期待しない

夏休みに毎日勉強を頑張ったから、9月のテストでは偏差値が上がるはず! と親は期待してしまいがちです。でも、これもあまり期待しない方がいいです。

我が子が頑張っているように、他の子も同じように頑張っているので。結局は夏前と同じような分布となり、偏差値としては劇的にアップしません。しかも成績優秀な子ほど前向きに頑張るので、高偏差値集団の壁は厚い。なのでつくづく、偏差値で一喜一憂しないことが身のためだと思います(~_~;)

だからといって、「夏はまだまだ大丈夫」と露骨に怠けると、二度と復活できないほど偏差値が急落。完全に水をあけられてしまいます。上がるのは難しいけど、転落はあっという間。そこが夏休みの恐ろしいところです…。

夏休み明けの模試は、偏差値アップよりも苦手としていた問題を克服できたどうか、そこを基準に子どもの頑張りを評価してあげるといいと思います。

「天王山!」、「天王山!」と塾の世界では呪文のように唱えられる夏休み。受験生の親としては緊張してしまいますが、あまり気負わず、偏差値に成果を求めずにいたほうが賢明です。自分をきちんと見つめること、苦手分野を克服する、という意味で“天王山”と捉えた方がいいと思います。