慶應か、翠嵐か!? 最後の選択 2

『慶應高校の学費は本当に高いのか 1~4』で書きました通り、慶應の学費はただやみくもに高いわけではない、公立高校に進学しても大学受験のために塾に通う現状を考えると、慶應への進学は、むしろリーズナブルかもしれないと納得しました。

進学先は国立か公立、と単純に考えていた我が家にとって、慶應義塾高校に進学することは想定より早いタイミングで学費の高額化がスタートすることにはなりますが、タイミングが早まるだけとも考えられる。受験費用に比べればむしろ明朗会計でもある。学費面で慶應義塾高校を選択肢からはずす必然性はないと考えられます。

そこで次に考えるべきは、今後の進路。大学進学をどう考えるかについてです。

慶應義塾高校に進学したら…?

慶應義塾高校に進学すれば、大学進学は慶應義塾大にほぼ確定。こちらが拒否しない限り、慶應義塾大学のいずれかの学部に進学することができます。どの学部に進学できるかは成績順で決まるので、好成績をキープすることが高校3年間の目標。もし外部受験を希望するなら、医学部志望者以外は慶應大学の推薦の権利を放棄しなくてはなりません(医学部は例外で推薦を志望しながら外部受験可能)。慶應は私学最難関と言われる大学。そして理系・文系学部が揃っています。芸術系の大学志望などの理由、よほどの勇気がない限り、その権利を放棄することはなかなかできないでしょう。

ただし、理系分野においては、国立大学の方が研究の幅も広く、レベルも高い。理系のパパ曰く、理系の学生にとっては国立大学が憧れ。慶應大学に進学するということは国立大学への道を断念することにもなりあす。悲しい決断を下すことでもあります。

横浜翠嵐高校に進学したら…?

横浜翠嵐高校は、湘南高校と並ぶ神奈川県立トップ校の一つです。最近では国公立大学への進学率アップに力を入れ受験指導も熱心に行っている様子。学校説明会でも塾に頼らず受験できる体制を目指しているとアピールしていました。東京都の日比谷高校の躍進に続けという感じでしょう。塾にいつ頃から行くものかという質問に対して、多くの生徒は1,2年は基本的には学校の受験指導のみ。予備校利用は高3からだそうです。塾とのダブルスクール状態は他の公立高校と比べると最小限で済みそうです。

大学受験をするなら、長男が合わせる照準は…?

慶應義塾高校を蹴って横浜翠嵐高校に進学しするとしたら、大学受験を選択するということ。長男にとって、その目的は、高校受験のリベンジ、“筑駒リベンジ”となります。そうすると、長男の場合、どこに照準を定めるかというと、“慶應より上”かつ“国立大学理系”の大学となります。

そこまでのものを課して大学受験に臨む必要があるのだろうか? この状況では、長男を必要以上に追い込んでしまうのではないかと、母の私は心配になりました。

長男、実際に学力は高いと思います。大学受験に臨むとしたら、最終的にその辺りのレベルの学校を目指すことになるとは思いますが、“慶應以上でなければありえない”を大前提にするのは、長男にとって良いことだろうか…?

長男は、高校入試で初めて受験を経験した子とパターンが違います。高校入試が初体験で横浜翠嵐高校に進学するとしたら、進路についてもっと自由に夢を描いて大学受験にチャレンジすることができるでしょう。でも長男の場合は、中学受験、高校受験を経験し、それよりも高い結果が出ないと報われないという構図に。“慶應でも敗北”という前提で大学受験に臨むことになる。精神的負荷がかなり違うと思います。

さらに我が家は首都圏在住。教育方針、経済面からも下宿NGが方針です。せっかく首都圏在住なのだから自宅から通える大学が望ましい。…となると、首都圏の慶應以上の国立大と言ったら…?? あの学校とあの学校と、あそこらへん? 赤門!? …状況的に、長男を完全に追い詰めてしまいます。

リベンジが叶わないことも十分に有り得る

三年後、国立大学が不合格となることも十分に考えられます。やはり国立大学は受験科目も多いし狭き門ですから。そしてたとえ慶應義塾大学に合格したとしても、長男は「またダメだった」と、“失敗”という思いを引きずることになるでしょう。しかも3年後に、“失敗”だとしても、慶應義塾大学に無事合格する保証など、どこにもないのです。三年後、どうなってるかなんて確約できません。

高校の3年間は受験だけではない。学校生活も大切

また、高校の3年間は大学受験以上に高校生活そのものが大切と思います。一生のお友だちができるのもこの時期。それをリベンジ一色の、受験のためだけの3年間にしてしまうのは、淋しすぎる。

また長男は、頭脳のスペックはそこそこ高いとは思いますが、実際の性格はのんびりでマイペース。コツコツとストイックに勉強することが苦手なタイプです。そして勉強以外の、部活や学校行事エンジョイ派。ゲームをしたり友だちと遊びに出かけることも大好き。今後3年間、今のテンションのまま臥薪嘗胆で執念深く受験勉強を続けられるかというと、少々疑問です。その状況に追い込まれたらやるかもしれないけど、それをマストとするのはどうか…。

そんなことばっかりやってたら、あの子つぶれちゃうよ、きっと。

親バカで、甘やかしの母かもしれませんが、必要以上の競争に我が子を晒すことは極力避けたいと思いました。