慶應志木の合否結果

慶應志木までの道のりは、40-50代の単独で来ている受験生ママらしき女性、あるいは受験生のご両親と見られるご夫婦、そしてたまに受験生とママの組み合わせの人々が、次々と列をなしてほぼ無言で黙々と足早に歩いています。

ザッザッザ…とコートのすれる音、カッカッカッカッ…という靴の音。そして車道の車の音…。今思い出しても、それらの音しか記憶にない。大勢いるのに、申し合わせたわけではないのに、なぜか会話は一切聞こえません。

沈黙。

校門に近づくにつれ、皆、申し合わせたかのように段々と歩くピッチが速まります。誰も決して走らないけど。そして沈黙のまま。

慶應志木に到着し合格者掲示の前へ

慶應志木の校門をくぐり中へ。一次発表と同じ、校門からまっすぐ入ってつきあたった回廊に合格者の受験番号を記載したパネルが掲示されています。

心臓バクバク。でも落ち着いて。合格はきっと大丈夫だから。

この心臓バクバクは、どちらかというと、合格か不合格かの不安より慶應志木か開成か、本当にどっちにするのか、その決断のタイムリミットが目の前にせまってきたという緊張。そして合格発表を見た後、首尾よく銀行のある場所を見つけてスムースに開成にたどりつけるか。今日のプラン通りに、きちんと時間内にするべきことができるかという、緊張からくるもの。

とにかく本日のアクションその1、慶應志木の結果を見ないと。合格者番号掲示パネルの前に向かいます。

慶應志木か開成か、どっちか…。まずはここで慶應志木の合格を確認して銀行の場所をチェック。そして開成へ向かわないと。まずは、慶應志木の合格チェックを…え? …あれ!?

えええっ!? 長男の番号が、無いっっ!!! Σ( ̄ロ ̄|||) Σ( ̄ロ ̄|||)

いきなり真正面からバケツの水をバッシャーン!とかけられた気分。

なんでぇ!? (つд⊂)ゴシゴシ(つд⊂)ゴシゴシ(つд⊂)ゴシゴシ

筆記、結構自信あったって言ってたよ。面接困らなかったってよ。なんで、なんで不合格よっ! なんで面接ごときで落される!? まじっ!?!?

不合格!? 想定外の結果が…

信じられない結果にクラクラしながら後ずさり、頭真っ白になって帰ろうとしたら、メガホンを持った事務の先生の声が耳に入りました。

「左側のパネルには補欠合格者が掲示されています。お見忘れのないようにお願いします」…おっと。そうか、そうか。恐ろしい! 見忘れて帰るところだったよぉ。

補欠合格者の番号は…あった! あった、あった!! 補欠だ! 補欠1番。よかった不合格じゃなかったよ! とりあえず、なんとか引っかかった。補欠1番だ。

さっきの合格者に番号がなかったショックから、すごーく心配になって、用心深くなってしまい、「本当だよね? ね? ね? ねっっ!? 」と何度も何度も、番号掲示を見直しては、写真を何枚も、何枚も繰り返し撮りました。

補欠1番。そうか、1番。

補欠…といっても合格者の中のいきなり1番目!ってことだよね? じゃあ絶対に繰り上げ合格するよね! 絶対一人は辞退者いるもんね。きっと、大丈夫だよね。安心して待ってれば、いいよね。

そして、そして、今日はとりあえず、慶應志木に振り込みの必要はないことに。開成から慶應志木に戻る必要はなくなった。母は現金輸送車になる必要はなくなり少し脱力…。

…でもでも、そこで新たな思いが浮上してきました。「慶應志木、合格確定じゃないなら、開成合格したら、そっち払っとく? どうする!?」(; ̄Д ̄)(; ̄Д ̄)(; ̄Д ̄)

このように一つ一つ結果が出るたびに、コロコロと次々に選択肢が変わり常に、常に、
翻弄されていました。